
はじめに
神秘的な見た目の幹や葉、フランキンセンスな良い香り、唯一無二な個性を持つ植物ボスウェリア
私もこんな超個性に魅了されたひとりなんですが、webで検索してほとんど情報がでてこないんですよね…
インスタグラムやヤフオクで見かけたレアボスウェリアも果たして本物なのかどうか、判断が難しく、悶々するばかりなので
専門家の方が多くの文献をまとめられたこちらの↓↓↓洋書を取り寄せました!
私のようなボスウェリア狂のお役に立てれば光栄です。

※ 私も初心者なので、間違った情報やよりよい説明があれば連絡ください!また標本に使える画像も募集します!! (ブログのコメント欄やInstagramのDMなどで連絡いただけると助かります)
ソコトラ島の固有種11種
ググるとソコトラ固有種7種類と書いてあるサイトをいくつか拝見しましたが、参照した書籍によると11種類あるようです。
Boswellia nana (ボスウェリア・ナナ)
ボスウェリア・ナナは、ソコトラ島北東部の石灰岩の崖やボルダー上に生育する、属中最も小型の種のひとつ。最大でも高さ2mほどにしかならず、匍匐性や垂れ下がり型の姿になることもある。種小名の「nana(矮小)」がその特徴を端的に表している。
樹皮は灰色で剥離しない。葉は枝先に密生し、単葉だが不規則に中肋まで裂けることもある。花弁は赤みがかった色で、花は単生または少数の総状花序につく。
近縁種のB. popovianaとは、矮性であること(B. popovianaは最大6m)、樹皮が剥離しないこと、葉裏がほぼ無毛であること(B. popovianaは白い綿毛が密生)で区別できる。
IUCN Red ListではVulnerable D2に指定されており、保全の最優先種のひとつとされている。標高210〜550mに分布し、B. socotranaとの自然交雑の可能性も報告されている。
Boswellia aspleniifolia (ボスウェリア・アスプレニーフォリア)
2020年の調査によると成熟した現地株が1000〜1500本に急激に減少してきている希少種。2012〜2018年にかけて新規の再生が観察されておらず、IUCN暫定評価はEndangered C1。
分類学的にはかつてウルシ科(Anacardiaceae)のOdina属やLannea属に分類されていたが、5弁花をもつことからボスウェリア属に再分類された経緯がある。
ボスウェリア・ソコトラナと近縁であり、灰白色の小葉は鋸歯状であるが、ソコトラナと異なり無毛で、逆にソコトラナは葉軸の上部に微細な縮れ毛があり、葉の上部が暗緑色または紫がかっている。 (ソコトラナみたことないので、どなたか本当かどうか写真ください…)
樹脂はカランシヤ周辺で伝統医学に使用される。乾季には家畜飼料として大量に枝刈りされている。


Boswellia ameero (ボスウェリア・アメーロ)
ボスウェリア・アメーロは、ソコトラ島中北部の標高110〜970mの石灰岩と花崗岩上に分布し、最大8メートルまで成長する。樹皮は黄褐色または灰色で、外層は剥がれ落ちる紙状である。
花はピンク色または赤みがかかっており、密集した総状花序やまばらに分枝した円錐花序の形で開花する。 葉は奇数羽状複葉の形で、両面に柔らかな開出毛があり、緑色で鈍鋸歯〜鋸歯状鈍鋸歯のある広い長楕円〜卵形である。近位の小葉はほぼ円形になることもある。
B.elongataは近縁で特徴がよく似ているが、B.ameeroの小葉は比較的幅が広く、葉の裏側には開出毛があり、B.elongataの裏側の白い綿毛とは対照的に緑色になっている。また花序はB.elongataより短く密集し、花色もピンク〜赤色(B.elongataはクリーム〜黄色系)で区別できる。
かつてはソコトラ島の主要なフランキンセンス産出樹木であったが、その重要性は過去のものとなっている。IUCN Red ListではVulnerable B2ab(ii,iii)に指定されているが、近年のサイクロン被害もあり、書籍ではEndangered B2ab(v)と暫定評価されている。
Boswellia elongata (ボスウェリア・エロンガータ)
ボスウェリア・エロンガータは、ソコトラ島北部でかなり広範囲に分布し、標高15〜650mの石灰岩と花崗岩に生育する。高さはアメーロと同じく最大8メートルまで生育し、樹皮は淡褐色で剥がれ落ちる。種小名「elongata(細長い)」は花序と小葉が長いことに由来する。
花はクリーム色、黄色がかった色、または淡いピンクがかった緑色をしており、総状花序または円錐花序(6〜35cm)の形になる。
葉は奇数羽状複葉で13〜29枚の小葉からなり、小葉は対生で細長い線状披針形、やや深い鋸歯状の暗緑色をする。裏面は白色で縮れ毛の綿毛に覆われるのが特徴で、B.ameeroの緑色の裏面と対照的。
Boswellia bullata (ボスウェリア・ブラータ)
ボスウェリア・ブラータは、ソコトラ島西部のカランシヤ(ガロンシル)周辺に限定して分布する小高木で、通常5m以下。石灰岩の崖やボルダー上に生育し、標高5〜250m。幹の基部はやや膨大する。
樹皮は淡褐色〜薄灰色で紙のように剥離する層がある。葉は奇数羽状複葉で11〜19枚の小葉をもち、表面が凸凹になる(bullate=水ぶくれ状)のが種小名の由来。表面はやや暗緑色で毛が密生し、裏面は淡緑〜白色。
花弁はクリーム色または黄緑色で、花弁の外面に毛が密生しているのが他のソコトラ種と異なる特徴。
近縁のB. scopulorum、B. samhaensisとともに「崖着生グループ」を形成し、花弁外面に毛がある点を共有する。B. scopulorumとは花色(クリーム〜黄 vs 赤)と毛の質で、B. samhaensisとは果実の形状で区別できる。
IUCN Red ListではVulnerable D2に指定されており、書籍ではEndangered Dと暫定評価。
Boswellia scopulorum (ボスウェリア・スコプロラム)
ボスウェリア・スコプロラムは、2020年に新種として記載されたばかりの種で、ソコトラ島北東部のBit Gobehit付近の南西向き石灰岩の崖に限定して生育する。種小名「scopulorum」はラテン語で「崖の」を意味する。
高さ約5mまでの小高木で、幹基部はやや膨大する。樹皮は平滑で薄灰色。
葉は奇数羽状複葉で3〜15枚の小葉をもち、時に単葉にもなる。小葉の裏面は白い縮れ毛の綿毛で覆われ、表面は凸凹(bullate)。
花弁は赤色で、外面に伏した毛がある。長く伸びる枝をもつ円錐花序につく。
近縁のB. bullataとは花色(赤 vs クリーム〜黄緑)と毛の質で、B. samhaensisとは花序の形で区別できる。分布が極めて限定的で、保全上の懸念がある種。
Boswellia samhaensis (ボスウェリア・サムハエンシス)
ボスウェリア・サムハエンシスは、ソコトラ諸島のサムハ島(本島ではない)に限定して分布する、2020年に新種として記載された種。南部の石灰岩崖上に生育する。
属中でもかなりの矮性で、最大でも約1.5m、通常約1m程度。樹皮は平滑で灰色〜黄褐色、剥離性。
葉は奇数羽状複葉で11〜19枚の小葉をもち、B. bullataやB. scopulorumと同様に表面が凸凹(bullate)。花弁は赤みがかった色で外面に毛が密生し、コンパクトな総状花序につく。
同グループのB. bullataやB. scopulorum(ともに約5m)よりもかなり小型であることが特徴。果核に狭いが明瞭な翼があることでB. bullata(翼なし)と区別できる。
保全状況はCritically Endangeredと暫定評価されており、各亜集団の成熟個体数が50以下と非常に少ない。
Boswellia popoviana (ボスウェリア・ポポビアナ)
ボスウェリア・ポポビアナは、ソコトラ島の北部中央から南部に比較的広く分布し、崖に着生して生育する。最大6mの細い木。
樹皮は紙のように剥離する。葉は通常単葉(時に不規則に裂けることがある)で、表面は光沢のある緑色、裏面は灰白色の縮れ毛の綿毛で覆われ、褐色の網目状脈が目立つ。時に奇数羽状複葉(3〜9小葉)にもなる。
花弁はピンク、赤、またはクリーム色にピンクが混じる。多花の円錐花序(最大17cm)につく。
北部型(裂けた葉、赤〜ピンクの花)と南部型(全縁で規則的な鋸歯の葉、クリーム色にピンクの花)の2タイプが認められている。近縁種のB. nanaとは、直立性でより大型であること、葉裏に白い綿毛があることで区別される。
IUCN Red ListではVulnerable D2だが、書籍ではEndangered Dと暫定評価。ソコトラ島西端の矮性・匍匐型の個体群は B. “hesperia” として暫定的に別種扱いされている。
Boswellia “hesperia” (ボスウェリア・ヘスペリア)
2020年に見つかったばかりの変種ボスウェリア https://www.ross.no/2023/12/17/boswellia-hesperia-25
ソコトラ島のヤギ被害が甚大でまだ全容はわかっていないが、リンク先のような塊根がまるでパキポディウムのような姿をしているとのこと。見つかったばかりで栽培例などがなく、お目にかかれるのはしばらく先になるだろう幻のボスウェリア。
書籍ではB. popovianaの西端の矮性・匍匐型個体群として暫定的に別種扱いされており、正式に独立種として記載されるための標本がまだ不足している状況。写真のみに基づく暫定名(”hesperia”)が提案されている。
Boswellia dioscoridis (ボスウェリア・ディオスコリディス)
ボスウェリア・ディオスコリディスは、ソコトラ島東中部の散在する複数地点に分布する中高木で、高さ3.5〜7m。崖やボルダーに着生する場合は幹基部が膨大する。種小名はソコトラの古代ギリシャ名「Dioscorida」に由来。
樹皮は黄褐色で剥離性。葉は奇数羽状複葉で11〜17枚の小葉をもち、完全に無毛なのがソコトラ島の種の中で唯一の特徴。小葉は灰緑色で鋸歯がある。
花弁は白〜クリーム色で、時にピンクがかる。外面は無毛。長い多花の円錐花序または総状花序(8〜30cm)につく。
ソマリア産のB. frereanaと比較されることがあるが、小葉の鋸歯の形、花弁の色、果実の室数などで明確に区別できる。
樹脂は地元で様々な儀式(特に葬儀)に使われるフランキンセンスとして収集・使用されている。IUCN Red ListではVulnerable D2だが、書籍ではEndangered C1と暫定評価(成熟個体数1000未満)。
Boswellia socotrana (ボスウェリア・ソコトラナ)
ソコトラ島固有種で、ソコトラナの冠がつけられた葉の形と色が特徴的なボスウェリア。最大9mに達する中高木で、樹皮は灰色または赤褐色、平滑〜粗面で剥離することもある。
葉は奇数羽状複葉で7〜31枚の小葉をもち、葉軸に明瞭な翼がある(B. aspleniifolia と共通する特徴)。小葉は楕円〜ほぼ円形で、上面が暗緑色または紫がかっており、微細な毛がある。花弁は淡黄色で3〜4mm。
近縁のB. aspleniifolia との主な違いは、ソコトラナの小葉上面は暗緑色〜紫がかるのに対し、アスプレニーフォリアは灰白色(銀色がかる)であること。また、ソコトラナの小葉には微細な毛があるが、アスプレニーフォリアは無毛〜ほぼ無毛。
一説によると、銀葉なのがアスプレニーフォリアであり、黒葉や緑葉はソコトラナとの話もある。
IUCN暫定評価はEndangered C1。成熟個体数は減少傾向にあり、再生状況が懸念されている。

サブサハラ・アフリカ地域
Boswellia neglecta (ボスウェリア・ネグレクタ)
エチオピア東部、ソマリア、ケニアなど東アフリカに広く自生するボスウェリアで、ウガンダ北東部やタンザニア北東部にもわずかに分布する。普及種なので比較的他のと比べると出会いやすい。最大8mの低木〜小高木。 育てやすく、水をバシャバシャあげると反応良く新芽を展開してくれるので初心者でも安心して育てられる。
樹皮は淡〜暗灰色で剥離しない。葉は奇数羽状複葉で、小葉は通常11〜47枚と多数つき、開出した縮れ毛で覆われる。花弁は白〜クリーム色で約2mmと小型。
近縁のB. microphyllaやB. globosaとともに「小葉グループ」を形成する。B. globosaとは果実の形(西洋梨形 vs 球形)で、B. microphyllaとは果核の基部角の有無(あり vs なし)で区別できる。
樹皮は鞣し(タンニング)に使用され、ガム樹脂はフランキンセンスとして採取される。エチオピアの伝統医学では皮膚病や胃腸障害にも使用される。乾燥地の再生にも高い潜在力があるとの報告がある。書籍ではIUCN暫定評価Least Concern(低リスク)。

Boswellia sacra (ボスウェリア・サクラ)
B. sacra はアラビア半島(特にオマーン)とソマリア北部に自生する種で、高品質なフランキンセンス(乳香)を産出する代表的な種。なお、B. carteri はB. sacraのシノニム(異名)であり同一種。Birdwoodが1870年にB. carteriを発表したが、Flückigerが1867年に先にB. sacraを発表していたため、B. sacraが正式名となっている。
樹皮は白っぽく、紙のように薄く剥がれ落ちるのが特徴。香りのある樹脂が分泌され、それが固まると乳香になる。
崖に自生する株では基部が膨大する傾向があり、ソマリアの個体では特に変異が大きい。果核には翼があり、風による散布(anemochory)が行われるとされている。
多くのボスウェリア種と同様に自家不和合性と考えられており、他個体との交配が必要(ただし実験的に示されているのはB. serrataとB. ovalifoliolataの2種)。
花弁自体は白〜クリーム色だが、花の中心にある花盤(蜜腺盤)が段階的に色変化する。黄色(受粉可能期)→ オレンジ → 赤 → 暗赤〜茶色へと変化し、昆虫(主にミツバチ)は黄色い初期段階の花を選んで訪花する。このプロセスは約2日で完了する(花の寿命は約2日)。
混生することがあるB. frereanaとは花色(白〜クリーム vs 赤〜緑赤)、花盤の形(短筒状 vs 扁平な皿状)、果実の室数(3〜5 vs 5〜8)で区別できる。
Boswellia papyrifera (ボスウェリア・パピリフェラ)
ボスウェリア・パピリフェラは、西アフリカのナイジェリアから東アフリカのエチオピア、エリトリアまで9カ国に広く分布する大型種で、最大12mに達する。標高250〜1900mの疎林や岩がちな斜面に生育。
最大の特徴はその樹皮で、白色〜淡褐色で平滑、大きな帯状に剥離し、下層は緑色。種小名「papyrifera(紙を産む)」は外皮が紙の代用として使えることに由来する。
葉は奇数羽状複葉で11〜29枚の小葉からなり、灰色の毛で覆われる。花弁は白〜ピンクで、葉の展開前に開花する(早咲き性)。
エチオピアのフランキンセンスの主要供給源であり、同国のガム・樹脂輸出収入の80%以上を占める。香・宗教儀式・コーヒーセレモニーに使用されるほか、蜜源植物としても重要。
ただし、多くの地域で再生不良が報告されており、エチオピアの研究では50年以内に採取・非採取集団とも90%減少との予測がある。書籍ではVulnerable A2cd + 3cdと暫定評価。挿し木で容易に増殖可能。
Boswellia dalzielii (ボスウェリア・ダルジエリ)
ボスウェリア・ダルジエリは、属中唯一の西アフリカ限定種。マリ、ブルキナファソ、ナイジェリア北部など広範囲に分布し、最大13mの高木になる。標高150〜1350mの開放林に生育し、岩がちな場所を好む。
樹皮は淡褐色〜白色で、紙状に剥離する。葉は奇数羽状複葉で11〜21枚の小葉をもち、B. papyriferaと異なりほぼ無毛。花弁は白色で、葉の展開前に開花。花序は総状花序(B. papyriferaは円錐花序)。
B. papyriferaと分布が一部重なり近接して生育することもあるが、毛の量と花序の形で明確に区別できる。
樹脂は衣服の燻蒸と芳香付けに使用。ナイジェリア北部では柵として頻繁に植栽される。種名はタイプ標本の採集者John McEwen Dalzielに因む。
Boswellia pirottae (ボスウェリア・ピロッタエ)
ボスウェリア・ピロッタエは、エチオピア固有種で、北部および南中部エチオピアの標高850〜1800mに分布する。最大10mの中高木で、高地から西へ流れる深い河谷の岩がちな斜面を好む。
B. papyriferaの最も近い近縁種だが、樹皮が灰色〜黒色でしわ状・ひび割れがあり剥離しない(B. papyriferaは白色で剥離性)のが大きな違い。葉はほぼ無毛で、花弁は白色またはクリーム黄色だが約3mmと属中でかなり小型(B. papyriferaは5〜8mm)。
IUCN Red ListではVulnerable C1に指定。個体数は1万未満で減少傾向にあり、ダム建設による脅威も。ガム樹脂は地元で採取され、教会の儀式に使用される。
種名はローマ大学植物学教授Pietro Romualdo Pirottaに因む。
Boswellia ogadensis (ボスウェリア・オガデンシス)
ボスウェリア・オガデンシスは、エチオピア南東部ケラフォ付近の数カ所のみに分布する非常に希少な種。属中唯一の石膏質地盤限定種で、標高280〜350mの低木林に生育する。最大4mの小高木。
樹皮は平滑で褐色またはやや赤褐色。葉は奇数羽状複葉で5〜9枚の小葉をもち、小葉は卵状楕円形〜ほぼ円形で比較的大きい。花弁は黄色で約3mmと小型。
類縁関係が不明確な非常に独特な種で、属内での系統的位置が確定していない。IUCN Red ListではCritically Endangered B1ab(iii)に指定されており、属中最も絶滅の危機に瀕した種のひとつ。
種名はエチオピアのオガデン地方に由来。切った枝はラクダの飼料として利用される。
Boswellia occulta (ボスウェリア・オクルタ)
ボスウェリア・オクルタは、2019年まで科学的に未知だった「隠された」ボスウェリア。種小名「occulta」はまさにその事実に由来する。ソマリア(ソマリランド)北西部のチール・ディビール付近の狭い地域のみに分布し、標高400〜600mの石灰岩丘陵斜面に生育。
最大5mの中高木で、幹基部はやや膨大し、岩上ではディスク状(直径最大80〜100cm)になる。樹皮は灰色で平滑。
最大の特徴は単葉であること。ソコトラ島以外の種で単葉なのはこの種のみ。葉は青緑色で無毛、縁が強く波状になる。花弁は白色。
B. sacraに最も近縁と推定されるが、単葉であること、無翼の果核をもつことなどで明確に区別できる。
経済的に重要なフランキンセンス生産種で、その樹脂はメトキシデカンという特徴的な精油成分をもつ。B. sacra(=B. carteri)として販売されるオイルにこの成分が含まれることが判明し、樹脂の混合問題が指摘されている。書籍ではEndangered B2aと暫定評価。
Boswellia frereana (ボスウェリア・フレレアナ)
ボスウェリア・フレレアナは、ソマリア北部に限定して分布する非常に独特な種で、最大8m。岩がちな斜面や垂直な岩壁にも着生し、幹基部はディスク状に膨大して直径最大80〜100cmに達する。
樹皮は淡黄褐色で紙状に剥離し、厚い赤褐色の樹脂を含む内層がある。葉は奇数羽状複葉で9〜13枚の小葉をもち、表面は暗緑色で光沢がある。
花弁は赤色または緑がかった赤色で、混生することもあるB. sacra(白〜クリーム色)とは花色で容易に区別できる。
フランキンセンス「マイディ(Meydi)」の原料となる種で、主に焼香ではなく口を芳香させ歯茎を強化するための咀嚼用として珍重される。サウジアラビアなど中東諸国で需要が高い。化学的にも独特で、樹脂にボスウェル酸とルペオール酸を含まないのは属中でこの種のみ。
書籍ではVulnerable C1と暫定評価。過剰採取と再生不良が懸念されている。
Boswellia rivae (ボスウェリア・リヴァエ)
ボスウェリア・リヴァエは、エチオピア東部、ソマリア、ケニア北東部の低木林に分布する。標高150〜915mの石灰岩上の丘陵や岩がちな尾根に生育。最大7mの低木〜小高木で、しばしば高さより幅が広い独特の樹形になる。
樹皮は黄色〜灰色で、紙状の薄片〜厚い鱗片で剥離。葉は奇数羽状複葉で11〜29枚の小葉をもち、両面に腺毛が密生する。
花弁はピンク色で外面に毛が密生。最大の特徴は雄蕊の花糸に毛があることで、これは属中でこの種のみに見られる形質。
フランキンセンスとして地元で採取され、エチオピアでは宗教儀式と防虫剤に使用される。種名はタイプ標本採集者のイタリア人植物学者Domenico Rivaに因む。
Boswellia microphylla (ボスウェリア・ミクロフィラ)
ボスウェリア・ミクロフィラは、ソマリア、エチオピア東部、ケニア北東部にかなり広く分布する種で、標高150〜1450mの疎林・低木林に生育する。最大6mの低木〜小高木。種小名は「小さな葉」の意。
樹皮は灰色で剥離しない。葉は奇数羽状複葉で小葉は非常に小さく(2〜13mm)、花弁も白〜クリーム色で2〜3mmと属中最小クラス。
近縁のB. neglectaと混生することも多く、外見での区別が難しい場合があるが、果核の基部角の有無で確実に区別できる(B. microphyllaは基部角なし、B. neglectaは基部角あり)。
用途が多彩で、樹皮は鞣しに、ガム樹脂はフランキンセンスに、根は伝統医学で下痢治療に使用される。ソマリアではラクダやヤギの飼料にもなる。
書籍ではLeast Concernと暫定評価。比較的広域に分布し大きな減少は見られない。
Boswellia globosa (ボスウェリア・グロボーサ)
ボスウェリア・グロボーサは、ソマリア北部(ソマリランド)のチェリガーボ北方に限定して分布する非常に希少な種。標高150〜250mの石灰岩のボルダーの間の谷に生育し、高さ約2.5〜4mの小高木。
樹皮は紫黒色または暗灰色で平滑という、属中でも珍しい色合い。葉は奇数羽状複葉で小葉は非常に小さく(3〜6.5mm)、両面に開出毛が密生する。
B. neglectaと非常に似ており、かつてはB. neglectaの極端型とされていたが、果実が亜球形(ほぼ球形)であることで独立種として認識された。種小名「globosa」はこの球形の果実に由来する。B. neglectaの果実は西洋梨形で長さが幅の約2倍。
書籍ではVulnerable D1と暫定評価。断片化した個体群は合計1000個体未満と推定されている。
インド全域
Boswellia serrata (ボスウェリア・セラータ)
ボスウェリア・セラータは、インド北部・中部・南部に広く分布する種で、属の基準種(ボスウェリア属で最初に記載された種)。岩がちな場所の落葉樹林に生育し、最大15m。標高240〜1220m。
樹皮は灰白色または赤灰色で紙状に剥離する。葉は奇数羽状複葉で17〜33枚の小葉をもち、小葉は明瞭な鋸歯状縁(種小名「serrata」は鋸歯の意)。花弁は赤みまたは白色で、葉の展開前に開花する。
インドのフランキンセンス(インド乳香)として知られ、特にアーユルヴェーダ医学で関節炎治療に重用される。軟膏・クリーム・カプセルとして多数の商業製品が販売されている。
姉妹種のB. ovalifoliolataとは、小葉数(17〜33 vs 9〜13)、小葉の縁(鋸歯状 vs 全縁)で区別できる。両種のみが心形で幅広い翼のある果核と葯の先端付属体をもつ。
厳密な自家不和合性で、ミツバチが有効な花粉媒介者。広く分布するが、過剰採取による衰退が報告されている。挿し木で容易に増殖可能。

Boswellia ovalifoliolata (ボスウェリア・オバリフォリオラータ)
ボスウェリア・オバリフォリオラータは、インド南部アーンドラ・プラデーシュ州のヴェルゴンダ丘陵に限定された非常に局所的な分布をもつ種。乾燥落葉樹林の斜面に生育し、最大10m。標高300〜900m。
樹皮は灰白色または灰黄色で紙状に剥離する。葉は奇数羽状複葉で9〜13枚の小葉をもち、小葉はほぼ円形〜卵状長楕円形でB. serrataより幅広い。全縁または縁がわずかに波打つ。花弁は淡ピンク〜ほぼ白で、葉の展開前に開花する。
B. serrataの姉妹種で、両種でインドの独立したクレードを形成する。
地元では乾季に樹脂を採取し、関節痛の治療やサソリ刺傷の外用薬として使用される。焼いた樹脂の煙を子供の病気対策として家に拡散する習慣もある。
IUCN Red ListではVulnerable A2cd; B1ab(i,ii,iii)に指定。個体群は著しく断片化している。
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